搔き乱された隠れ家

即興小説トレーニングに投稿した作品(「搔き乱された隠れ家」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))の改稿版です。 何としてもここで年を越さねばならないという気持ちになって、今日は独りでここに来た。 警官隊の列とすれ違った。警棒やメガホ…

百発百中の団地妻

即興小説トレーニングに投稿した作品(「攫うわ あなたのハート 鷲掴み」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))の改稿版です。 「あっためれば食べられるもの、冷蔵庫の下の段にたくさん入ってるから!」 「分かった」 夫はパソコンを覗き込んだ…

日本式のテロリズム

即興小説トレーニングに投降した作品(「明日の神話」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))の改稿版です。 これ以上ないほどに蒸し暑い夜だった。渋谷はその名の通り谷地、落ちくぼんだ土地にあるものだから他の場所からの熱気や湿気が容赦なく流…

虹よ、この世の塵芥を照らしたまえ

即興小説トレーニングに投稿した自作小説(「虹よ、この世の塵埃を照らせ」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))の改稿版です。 その日は朝から雨が降り出し、それでまだ月の半ばだというのに、すでに今月だけで10日間降水を記録したことになっ…

紅薔薇の惨劇

即興小説トレーニング投稿作品 「紅薔薇の惨劇」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com) の改稿版です。 柱時計が時を告げた。アルフォンス・グレーバーは今日二度目の睡眠から目を覚まし、人前に出るには恥ずかしくないだけの身支度を整えて、若者…

画家の収支、リスの冬支度

即興小説トレーニングで書いた作品(「画家の収支、リスの冬支度」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))の改稿版です。いろいろと甘いですが、ひとまず形になったので、取り急ぎ。 秋は深まり、サッシ越しに眺める庭の景色からも、日ごとに冬の足…

晩秋の闇に包まれて

下記の小説は「即興小説トレーニング」(即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))様の場において、その名の通り即興で、一時間限りの制約の中で書かれたものの完結版です。未完に終わってしまったのが悔しくてならず、Wordに場を移してから30分ほど延長…

考察『100日後に死ぬワニ』

思わぬ形で自由に文章を書く時間と機会が舞い込んできましたので、最近読んだ『100日後に死ぬワニ』(きくちゆうき)について考えたことをここにメモしておこうと思います。これからもこういった形で時折、ブログを更新することがあるかもしれません。全体と…

シュテファン・ツヴァイク『ジョゼフ・フーシェ』

億単位の人間がうごめく社会にあっては、社会を空から俯瞰してみる限り、雑踏の中のいずれかの個人を特権的で、自律的な主人公とみなすことは到底不可能である。頭上を急流が流れる川床で、大小の石が大きな力に押しつ揉まれつしながら、いずれは平らな底の…

自由、初めての週末

生きるためにするべきこと、片づけなければならないことが、より多く自分の手にゆだねられている。秘密は自立した生活の中にしか生まれず、秘密を抱えることは一人の人間となることである。詩が内側から継続して生まれてくるためには、詩がいかにも生まれ出…

東京は夜の7時

www.youtube.com ”リオは朝の7時”バージョンを事実のパソコンで聴いている。距離を置いてみて、初めて東京が美しく輝きだした。 東京という都市が導き出すイメージはここでは余りにも強烈で、殆どブレードランナーの世界を思わせるほどだ。騒音に満ち、生き…