搔き乱された隠れ家

即興小説トレーニングに投稿した作品(「搔き乱された隠れ家」 - 即興小説トレーニング (sokkyo-shosetsu.com))の改稿版です。

 

 何としてもここで年を越さねばならないという気持ちになって、今日は独りでここに来た。

 警官隊の列とすれ違った。警棒やメガホンの代わりに、遺影を掲げるみたいに両手で「ステイホーム」「NO!三密」「年末は自粛をお願いします」と書かれたプラカードを握り、列をなして歩行者天国になっている目抜き通りを静かに行進していった。

そういえば、さっきぐでんぐでんに酔っ払った大学生の一団らしきものを見たが、彼らはそのうちこの葬列に捕まってしまうのではあるまいか。私は引き返して彼らに忠告しようかとも考えたが、やめておいた。どうせ当局の方だって穏便に済ませたいに決まっている。なんといっても自粛なのだ。誰であれ、隣人から大みそかに都心の繁華街を闊歩する権利をはく奪することはできない。それに、あまり忠告する甲斐があるようにも見えなかった。足元の覚束ない学生の一人が、車道と歩道の間にあるちょっとした段差で躓き、横転してあおむけになったままコガネムシみたいに四肢を宙に泳がせていた。何が可笑しいのか、彼は倒れたままゲラゲラ笑っていて、それを見た連れの数人もつられて爆笑していた。そんな有様をいま、はっきりと脳裏に思い浮かべた。

 私は葬列の進む大通りと袂を分かち、かねてからの馴染みの店へと向かった。その店は細くて、暗い、他の多くの店が勝手口やゴミ捨て場を設ける裏路地に入り口を構えている。表通りに立つ店の少なからずが冬を越すことなく撤退していったのに対して、裏路地の店はほとんどが生き残った。それは彼らがインバウンド、つまり外国人観光客をほとんどあてにせず、ごく少数の馴染みの、しかし決して裏切ることのない常連だけを相手にしているからで、私の馴染みの店もそうした店の一つだった。真っ暗な通りにボウッと浮かび上がる灯り、ごく簡素なドアの除き窓から漏れる店の光が近づいてきたとき、どっと歓声が上がるのが聞こえた。それは間違いなく馴染みの店からのもので、除き窓からはいつになく忙しく動き回るマスターの姿が見えた。

「ごめん下さい」

あまりにも忙しいのか、マスターは私が現れたことに気がつかなかった。私は気にしなかった。店内では見慣れない三人の男が一つのテーブルに座り、すでに出来上がった状態で代わる代わる酒を酌み交わしている。一人は髪を短く刈り上げ、首元にはドッグタグをぶら下げていた。体つきはがっちりしていたが、張りつめたパーカーの下腹部はだらしなく膨張している。もう一人は長髪の瘦せぎすで、片手に煙草をくゆらせながら、もう一方の手でスマートフォンをチェックしている。三人目は小太りで、他の二人に比べれば整った身なりをしているが、座り方があまりにも下品だった。刈り上げの男が切り出した。

「まったくよお、高倉のやつ。調子乗ってんじゃねえのか、え?何の返事もよこさねえなんて、人としてなってねえよ、人として。そうだろう、伊藤」

「おうよ、これは許せねえ。ほんとに誰も知らねえのか、あいつの居場所。大野、LINEとか来てないか」小太りの男が言った。

「いーや、音沙汰なし。既読はつくんだけどねえ」と、瘦せぎすの男が答えた。

「既読スルー、随分お高く留まったねえ、あいつも」刈り上げの男が言った。

ビールジョッキ三つを手にしたマスターがようやくこちらに気づき、それを三人が座るテーブルに無言で置くと、振り返って私の方に目配せした。私はマスターの指示に従い、男たちが占める店内左手奥から見て対角にある、入り口から見て手前のカウンター席に腰を下ろした。マスターが手招きしたのを見て、私はカウンターから身を乗り出して彼の口元に耳を近づけた。

「なんでも客が多いところはまずいとかなんとか言って、ここを見つけちゃったそうなんですよ」

「災難だね。おたくには」

「ええ、まったくです。一日にジョッキを9本も出すなんて、この店始まって以来の大事件ですよ」

ここは原則として静かな店だ。一見さんお断りというわけではないにしても、店ではなるべく店の流儀に従わなければならない。店に置かれているビールはほんの飾りのようなもので、つまりバーとしての要件を満たすためだけに置かれているのであって、実際に注文する人間はほとんどいないのだ。

「今日はどうします」マスターが尋ねた。

「スーズ・トニックを、頼む」

「承りました」

背後のテーブルは一層ヒートアップし、恐ろしい宴が始まろうとしていた。刈り上げの男が立ち上がり、「薩摩と獺祭、カンパリ、それにボルドー、みんな持ってきてくれ」と叫んだ。松崎というらしい。男の注文にぎょっとしたような顔をしたマスターは私に目配せしたが、私は注文通りに出してやること許した。許した、というのは、マスターが本来の流儀に反するサービスを提供したことに、私が愛想を尽かすかもしれないと、ひどく心配しているように見えたからだ。彼らは品がない。しかし、自粛期間中とあって、マスターだって金を落としてくれるなら、それはそれで万々歳というのが本音だろう。私はあくまでも、この店がずっと続いてくれることを願っている。

 計四本、まるで酒瓶の花束のようになったブリキのバケツが三羽烏のもとに届けられた。

「さあ、始めるぞ」松崎という男の号令に合わせ、宴は最高潮へと流れ込んでいった。伊藤と呼ばれている長髪の男と、大野と呼ばれている小太りの男、それに大柄の松崎は四本の、まったく種類も違えば、見た目も味もまったく異なる酒を次々に回し飲みしていった。

「たまらねえな」松崎が言った。

「いや、まったくだ」伊藤がそれに続いた。

「めんどくさいな、全部混ぜちまおうぜ」と、世にも恐ろしい提案が大野からなされ、松崎は瓶をすべてバケツから引っこ抜き、空になったそれに手持ちの酒をすべて注ぎ込んだ。それを見ていたマスターは完全に表情を失っていた。私はいたたまれなくなって、目の前のスーズ・トニックに手を伸ばした。そのとき入り口のドアが開いて、一人の女が現れた。キャメルのチェスターコートに身を包んだ彼女は、長い髪を後ろで簡単にまとめ、気の強そうな印象を与える大きな目を見開き、目の前の惨状を引きつった表情で眺めている。

「あんたたち、これはどういうこと!?」

「ああ、三宅。遅かったじゃないか」、と松崎が答えたが、しゃっくりで語尾には妙なアクセントが付け足された。

「こんな無粋な飲み方して、ほんと信じられない」

「それよりさあ、高倉のことなんか知らねえか。なんにも連絡よこさねえんだよ、あいつ」いかにも腰を悪くしそうな、座面の端っこに腰を引っかけるように座っていた大野が、背後の入り口の方に首をそらして、さかさまの姿勢でそう言った。

「高倉君みたいな人が、あんたたちみたいな人たちと年を越そうなんて思うはずないでしょ!高倉くんはあんたらとは違って、成功者なの。私たちの中で唯一の成功者なのよ。いい加減に目を覚ましたらどう?」女は腹立ちまぎれに、まったく、ぐちゃぐちゃの傑作ね、あんたたち、この意味不明なちゃんぽん酒とおんなじよ、と吐き捨てた。女の言葉には各々それなりに刺さるところがあったのか、叱咤された男たちは声を上げておいおい泣き始めた。とうとう私は席を立った。これ以上ここにいてはいけないような気がしたからだ。他人の生き恥を酒のつまみにするのは、私の趣味ではない。レジに向かうと、スーズ・トニックと席の代金、それにいつもより多くのチップをマスターに手渡した。

「せっかくの大晦日でしたのに、申し訳ありません」と、マスターが言った。

「なに、また年が明けたら来ますよ。くれぐれも、彼らからたんまりいただくのを忘れないように」

マスターは笑って、よかったら弟子の店に行ってください、あちらは静かでしょうから、と言った。男たちは依然として泣いていた。私はコートを羽織り、音をたてないようにドアを押して外に出た。ドアのぞき窓からは、大きな子供たちをなだめる面倒見のいい女の姿が見えた。呆れ顔だったが、瞳はやさしげで、その口角はわずかに上がっているように見えた。

例の兄弟店はもう二つ先の路地にあり、マスターの下で修業した30半ばの男が切り盛りしていた。カウンターだけのごく小さな店だった。まだ商いを始めてから2年足らずだが、修業期間の間に師匠の下で培われた美意識が細部にまで浸透していて、まるでもうずっと前からここにあるかのような印象を受けるのだった。これから商売を始めようという人間には決して安くない買い物だったはずの、年代物の黒檀でできたカウンターはいつも磨き上げられていて、師匠からスタイルを引き継いだ仕事服は常に清潔に保たれていた。何より好ましかったのは、若い人間の経営する水商売の店にはありがちな、空白を無理くり埋めようと付け足される絵の具のように余計なBGMが、あの店には全くなかったことである。趣味の行き届いた内装と、礼儀正しいバーテンと、よき酒さえあれば、あとは全然必要ないのだ。

 店のドアを開けると、若いマスターは奥の流し場で洗い物をしていて、私の姿に気が付いて軽く会釈した。中はいつも通り静かで、先客が一人だけいた。彼もついさっきここにやってきたばかりらしく、灰色のフロックコートを丁寧にたたんで、空いている隣の席に載せた。彼は私が入ってきたのを見ると、たたんだコートを椅子から持ち上げ、後から来る客が困らないようにカウンターの奥から二番目の席に移動して、コートは一番奥に置いた。

 私が席に着くと、コツコツ革靴で足音を立てながら、若いマスターがこちらにやってきた。

「今日は冷えますね」若いマスターが言った。

「じゃあ今日はもう早くに閉じるのかい?」

「いえ、お客さんがいるまでは。僕はこれがあるから大丈夫ですよ」

彼の足元には、果物の詰まった段ボールやゴミ箱といっしょに小型のヒーターが置かれ、電熱線が白熱して光っていた。

「今日は何にしましょうか」

「寒いからね。“グリューワイン”なんか、あると嬉しいんだけどな」

「大丈夫ですよ」

最初の注文を済ませ、コートを脱ごうとしていた私と隣の客の目が合った。感染を恐れているのか、彼はコートを脱いでもマスクは着けたままにしていた。彼の両手にはラミネート加工されたメニューが握られ、まるで言葉の分からない国のレストランで偶然同郷人を見つけたような目で私を見つめていた。私は外しかけたマスクを再び付け直してから、彼に話しかけた。

「どうかしましたか」

「いえ。ただ、あまりこういう店に来る機会がないもので、何をどうしてよいのやら途方に暮れてしまいまして。でも、あなたの頼まれた“ブルーワイン”というのは悪くなさそうですね」男はマスクの下に無邪気そうな微笑みを浮かべてそう言った。

「“グリューワイン”、“グリューワイン”ですよ。薬草やらスパイスやらがたくさん入っていて、飲むと温かくなります」

「なるほど、“グリュー”ワインでしたか。では、私もそれを一ついただきましょう。一つ、よろしいでしょうか」若いマスターは客の求めにやさしくうなずいた。

 この男からは、ほとんど来ない、どころか今日初めて酒場に入ったかのような印象さえ受けた。店内は底冷えしていたとはいえ、ヒーターの熱気が程よく循環していて心地が良かったが、男はずっと落ち着きなく手をさすっている。バーで緊張する様子は、彼の整った身なりとはあまり調和していなかった。ベージュのコーデュロイのパンツに赤いセーターを身に着け、柔らかそうな褐色の髪はワックスで丁寧に後ろになでつけられている。特別にエレガントとは言えないが、野暮な印象は全くない、ごく市民的かつ良心的なコーディネートと言えるだろう。コートを脱いだ時から、ヒースか何かだろうか、品のいい植物系の香水の香りが辺りにほんのり立ち込めていた。つまるところ、これらの要素は私に好感を覚えさせ、彼ともう少し長く会話するのも悪くないかもしれないという気を起させるに、十分魅力的だった。

「あまりお酒の店にはいらっしゃらないとおっしゃっていましたが」

「ええ」男が目を大きくして反応した。

「そうなると、数ある店の中からこのバーを選んだあなたは、恐るべき炯眼の持ち主と言うほかありませんね。ここは本当にいい店です。それとも、今日は誰かの紹介でこちらにいらしたんでしょうか?」

「いえいえ」男は笑って言った。「本当なら、今日は大学時代の友人に呼ばれていて、そちらに行くはずだったのです。彼らのいる店もこのあたりにあるようなんですがね」

「ほう」

「ただ、近くにまで着た途端に、急に足が重くなってしまって。そのまま家に戻るのも気が進まなくて、近くの路地を覗いた先にあったこの店に入ったというわけです」男は品の言い微笑みをマスクの下に浮かべ、穏やかな口調でそう言った。大の男同士の会話になったと見るや、鳴りを潜めていた彼本来の威厳が表に出てきたようだった。私は、

「もしよろしければ、何があなたの足取りを重くしたのか、お聞かせ願えませんか?」と、質問した。男は目を閉じ、こぶしを額に当て、しばらく言葉を選ぶようなそぶりを見せた後、目を見開いて私の方に向き直り、2,3秒溜めを作ってから話し始めた。

「つまり、私には彼らの前でどう振舞えばよいか、さっぱり見当がつかないのです。彼らと疎遠になってもうだいぶ月日が経ちましたが、その間、彼らと私と間にはいろいろな点で大きな溝ができていると言わざるを得ません。私自身、他人よりも増して勤勉な人間と自負していますが、実のところそれ以上に運のいい男で、努力した分、それ相応の報いを受け取ることができました。しかし、どうやら彼らはそうではないらしい。とにかく、私は彼らを傷つけたくないのです。高慢な態度に出ることが問題外であることはもちろんのこと、へりくだった態度を取るのも、それはそれで彼らを傷つけるでしょう」

それを言い終わるか言い終わらないかの時、彼は何気なく私から目を逸らした。告白の間、私は男の誇り高い倫理観に心を打たれ、沈黙していた。男の言葉には、論理を無暗に弄ぶような印象は一切感じられず、男はただ真剣に、青年の如き誠実さで問題に向き合っているように思われたからだ。しかし、彼が私から目を逸らした時、己の瞳の奥を覗かれることを拒絶したあの瞬間、私は彼の無意識がすでに問題の正答を悟っていることを見て取った。私が言うべきことは、決まっていた。

「あなたはやはり行かれるべきだと思います」

「そうでしょうか」

「ええ。あなたは二つの点で勘違いしているのです。まず、謙遜のおつもりかもしれませんが、あなたは道理もなく、自分自身の人格を彼らと同じラインにまで引き下げようとなさっている。それは不要です。あなたは高慢を嫌悪し、それを努めて避けようとなさっているようですが、あなたほど善良な人間が正道を外れることなどありえません。それよりもあなたは、謙遜が生む傲慢を避けるためにも、堂々と胸を張るべきなのです。自分が彼らと違うということを、そもそも最初から何か違ったのだということを、誇り高く受け止めるべきです」

男は険しい目で私を見つめていた。私はなおも続けた。

「そしてもう一つ。たとえ大きな溝があったとしても、飛び越えること自体は案外容易なのです。いいですか?あなたは、溝は“彼ら”と“あなた”だけの間に走っているものとお考えのようですが、実際、我々は個々に分断されていて、結局は誰もが独りぼっちなのです。しかし、本当にくだらない共通項が一つでもあれば、我々はそれをてこに、自分たちが仲間であるというフィクションをあっという間に作り出すことができます。それは虚構ではありますが、我々の関係を可能にしている最も根本的な想像力の産物なのです。私が思うに、同じ屋根の下で数時間ともにしたならば、そこに新たな関係が結び直されてしかるべきです。そこにお酒があれば、これはもう十分すぎるというほどでしょう」

「友達になり直す、ということですかね」男は静かに言った。

「そういうことです」

その時、ごとりと音がして不意に手元を見ると、たったいま私と男の前にそれぞれ、素焼きの器に入った一杯のグリューワインが差し出されたところだった。若いマスターは無言で立ち去ると、そのまま再び流しの方へと向かった。優れたバーテンは、酒を出すのに適切なタイミングをわきまえていた。

思いがけない出会いに乾杯すべく、お互いがマスクを外した時、そこにあった顔と先ほど最初の店で聞いた名前とが完全に結びついた。その顔には見覚えがあった。雑誌か、あるいはネットの記事だったと思う。男はイラストから商品デザイン、メディアインスタレーションまで手広く手掛ける事務所の代表だった。ただ、カメラマンにそれらしい表情をしたその瞬間を収められた写真から受ける、やや尊大な印象とは違い、目の間に座る男は謙虚で、ずっと素朴だった。写真では加工され、滑らかに光っていた顔の肌も、実物では鉄筆で彫り込まれたかのような皴がすでに何本も刻まれ、彼の人知れぬ苦悩を物語っていた。

「おいしい」男がグリューワインを一口含んで言った。

「ええ、本当においしい」と、私は言った。「しかし、これは案外すぐ頭に回りますから、気を付けた方がいいでしょう。お酒に弱いのではないのですか?」

「いえ。家系上、むしろ酒には強いはずなのですが、ただ飲まないんです。習慣がなくて」

「飲まれたら、すぐにでも行かれた方がいいでしょう。彼らだって、いつまでも友人の不在をネタに管を巻いているわけにもいかないでしょうから」

「なんだかご覧になってきたようなことを言いますね」

「ええ、まあ。とにかく、あなたは行かれた方がいい。でも、もしその気があれば、また戻ってきてください。私は大歓迎です」

グリューワインを飲み干すと、男は店を後にした。私は男をせかすような真似をしたことを、少しばかり後悔していた。もう少し彼と話し込んでいたかったのだ。しかし、私はすべきことをしたのだという確信に揺るぎはなかった。私が何か誤っているのだとすれば、それは年末の客を一人失った若いバー経営者に対してだろう。

結局、閉店まで男が戻ってくることはなく、いつの間にか年が明けていた。私は帰り際、いつもより多めのチップを若いマスターに握らせようとしたが、彼は断った。

「それは受け取れませんよ」、と彼は言った。「バーテンとして正しくありません」

「しかし君は客を一人……」

「そんなことより、すぐ店を閉めますから、これから一緒に師匠の店に行きませんか。新年の挨拶です。あっちはまだ開いてるでしょう」

私は、男が何時間も飽くことなく、友人たちと親しげに語り合っているところを思い浮かべた。新客のお陰で沈静化した熱気を、マスターが安心した様子で眺めている。そこに私の居場所があるとは思えなかった。

「いや、私は、やめておくよ。もう遅いから」

「いけませんね。いけませんよ、お客さん。だって私たちはこの狂った2020年を共に越した仲でしょう?だったら、我々の間には特別な結びつきが生まれたと考えてしかるべきです。親しい友人同士の頼みとでも思って、聞いてもらわねば気が済みません」

「そうかな」

「そういうことです」